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UPDATED:2017-11-07

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大会総評・各種報告


平成29年度 全国高等学校総合体育大会(南東北総体) 大会総評

報告者:高体連技術委員 越ヶ谷高校 野木 悟志

H29全国高校総体総評

平成29年度 学校総合体育大会 兼 全国高校総体サッカー大会 埼玉県予選 大会総評

報告者:高体連技術委員 越ヶ谷高校 野木 悟志

H29総体県予選総評.pdf

平成29年度 第60回関東高校サッカー大会 大会総評

報告者:高体連技術委員 川口青陵高校 山田 純輝

平成29年度関東総評.pdf

平成29年度 第60回関東高校サッカー大会県予選 大会総評

報告者:川口青陵高校 山田純輝

平成29年度関東高校サッカー大会埼玉県予選は、4月15日から30日にかけて浦和駒場スタジアムや埼玉スタジアム第2Gなどの会場で開催された。今大会は、昨年度の全国高校サッカー選手権埼玉県予選ベスト8のチームと、1月に行われた新人大会各支部予選から勝ち上がった24チームの合計32チームによるトーナメント方式で実施された。決勝のカードは、昨年度末の新人大会決勝と同カード(昌平高校vs正智深谷高校)となった。結果は、新人大会に続いて昌平高校が優勝、準優勝に正智深谷高校、3位に浦和西高校と狭山ヶ丘高校となり、新人大会に引き続きベスト4に東西南北1チームずつが名を連ねた。
 昌平高校は、近年の躍進と新人大会優勝の実績もあり、相手に分析されながらも安定感のある戦いで貫録を示した。1、2回戦の浦和東高校、成徳深谷高校戦をいずれも1点差の接戦で勝ち上がったことで勢いに乗り、5試合で18得点2失点と圧倒的な得点力で新人大会に続き優勝を飾った。1-4-2-3-1の布陣で、SBが高い位置を取り、中盤がポジションチェンジしながらテンポ良くパスをつなぐ攻撃的なポゼッションスタイルを貫いた。CBとボランチがパス交換することで相手ボランチを引き出してスペースを作り、そこにトップ下やFWが下りて楔を入れるとともにMFがサポート、そこからサイドへ展開し何度もゴールに迫った。FW⑨佐相が何度も背後で受けるアクションをしたことで相手DFラインが下がり、トップ下やインサイドにポジションを取ったSHが何度もフリーでボールを受けて前向きを作るシーンが見られ、主導権を握り続けた。その中でも戦術眼に長けたボランチ⑦山下の縦パスやドリブルは常に昌平高校の攻撃のスイッチとなっていた。ゲームの中で、中央からの攻めることを意識しすぎて攻撃の幅が狭くなることでボールを失い、カウンターを受けるシーンもあり、課題も残った。守備は、GK①緑川やCB④石井を中心にコンパクトな3ラインを形成し、チャレンジ&カバーが徹底されておりコレクティブで安定感があった。前線からの積極的なプレスで相手のプレーを限定し、後ろからの連動した守備で何度も高い位置でボールを奪った。一人ひとりの攻撃から守備への切り替えが早く、ボール奪取能力も高いため、相手に自由を与えなかった。しかし、時折FWからDFまでの距離ができ、相手FWやMFにフリーで前向きを作られ、押し込まれる時間帯もあり、今後の課題となった。
 準優勝の正智深谷高校は、1-4-4-2の布陣で、持ち味である堅守速攻のスタイルを遺憾なく発揮し、安定感のある戦い方で勝ち上がった。攻撃は、DFからロングボールをSHに送ったり、奪ってから素早く2トップにボールを供給したりしながら全体を押し上げ、スピードのある両SHがサイドを突破しクロスを上げる形で何度もチャンスを作った。新人大会で存在感を示したFW梶谷を怪我で欠くものの、個人のテクニックやスピードを生かした攻撃力は今大会でも目立っていた。リズムが悪くなったときにテクニックがあり戦術眼の高いFW⑩海老塚をボランチにするとゲームが落ち着き、リズムが生まれた。準決勝では、途中出場したFW⑮石橋が積極的な背後への動き出しから決勝ゴールを決めるなど活躍が見られた。守備は、コンパクトな3ラインでブロックを形成し、選手の距離感やバランスが良くコレクティブであった。全体の切り替えや守備意識の高さに加え、両CBのヘディングや対人の強さも際立ち、相手FWを自由にさせなかった。決勝戦では、後半半ばまで昌平高校の攻撃を無得点に抑えていたが、一瞬の隙をつかれて失点し涙をのんだ。最後まで集中力を切らさず戦い抜くことができれば勝機は訪れるはずである。
 3位の浦和西高校は、1-4-4-2の布陣で臨んだ。DFや中盤から長身FW⑪森をターゲットにロングボールを供給し、セカンドボールを拾ってラインを押し上げ、相手陣地でプレーしようと心掛けた。準決勝の昌平高校戦では、セカンドボールを相手中盤に拾われる形が多く、主導権を握ることができなかった。その中でもテクニックのあるFW⑩遠藤にボールが入ると全体が落ち着き、ラインを押し上げることができた。今後は、ロングボールと⑩遠藤やボランチを経由したビルドアップを併用すると攻撃に厚みやバリエーションが増えそうである。守備は、3ラインを形成し、コンパクトであった。中盤のスライドが遅れて相手FWにボールが入ってしまったり、SBが絞りすぎてサイド突破を許してしまったりなど課題も残ったが、準決勝に進出した唯一の公立高校として存在感を示した。
 同じく3位の狭山ヶ丘高校は、1-4-4-2の布陣で臨んだ。DFや中盤からFWやSHにロングボールを多用し、セカンドボールを拾って全体を押し上げ、主導権を握ろうとする。長身でフィジカルに長けた選手が多く力強かった。準決勝の正智深谷戦は、セカンドボールをなかなか拾うことができず、相手ペースで試合が進んだ。守備は、FWからDFまでコンパクトな3ラインを形成し、相手に自由を与えなかった。準決勝の後半は、中盤のスライドが遅れることで縦パスを通されはじめて相手ペースになり、決勝ゴールを許してしまったことは悔やまれる。失点後に、前線から積極的にプレスをかけるようになり、高い位置でボールを奪う回数が増えたことは自信につながるであろう。
 大会全般を振り返ると、新人戦のときと比べて各チームのスタイルが確立されてきたと感じる。攻撃は、ポゼッションスタイルのチーム、あまりリスクを負わずシンプルに前線にボールを供給して主導権を握ろうとするチームと特徴があった。守備に関しては、上位に残ったチームは、攻守の切り替えが早く、ボールを中心にコンパクトなラインでブロックを形成し、1stDFがパスコースを限定し、全体で連動してボールを奪う形が徹底されていた。特筆すべきは、準決勝と決勝で合計9ゴールが生まれたが全てのゴールが後半であったということである。これは、各チームの守備の確立に加えて、相手チームの特徴を分析することで前半は無失点に抑えられるものの、後半に集中力や体力が落ちることなどが一因で失点が重なったと考えることができる。今後の大会は、より気温や湿度が向上してくる。体力などフィジカル面の向上やコンディション調整など様々な面で万全にしていく必要がある。総体県予選や選手権県予選で、今年の2強になりつつある昌平高校、正智深谷高校に対抗するチームが現れるのか注目していきたい。
 今大会で関東大会出場権を獲得した昌平高校と正智深谷高校は、6月3日から埼玉県で行われる関東大会に出場する。地元開催ということでより一層注目されることが予想される。両チームとも県予選での成果と課題を整理して本大会に臨み、埼玉県代表として良い結果を残すことを期待して総評とする。

平成28年度 埼玉県高等学校サッカー新人大会 大会総評

昌平高校「2年連続3回目の優勝」-埼玉県新人大会を振り返って

報告者:川口青陵高校 山田純輝

平成28年度埼玉県高等学校サッカー新人大会は、2月4日.5日.12日.18日の4日間をかけて西武台高校グランドなどの会場で行われた。今大会は、昨年の高校サッカー選手権埼玉県大会ベスト8のチームと、1月に行われた新人大会各支部から勝ち上がった8チーム(各支部2チーム)の合計16チームによるトーナメント方式で実施された。結果は、昌平高校が2年連続3回目の優勝、準優勝に正智深谷高校、3位に武南高校と西武台高校という結果で、ベスト4に東西南北1チームずつが名を連ねた。
 昌平高校は、昨年の全国高校総体ベスト4の経験と実力を遺憾なく発揮し、4試合で10得点、1失点と安定感のある戦いで優勝した。1-4-2-3-1の布陣で、昨年からの2年生レギュラーに加えて1年生がスタメンの半数を占めるフレッシュな顔ぶれであった。攻撃は、SBが高い位置を取り、中盤が流動的にポジションを変えながらボールを素早く動かす攻撃的なポゼッションサッカーで主導権を握る。DFやボランチから楔や背後へのロングボールなど長短のパスを織り交ぜながら相手の隙を突いてゴールに迫る。特に、昨年から主力のボランチ山下が効果的な縦パスや侵入のドリブルなどでリズムを作り、攻撃を牽引した。また、ポストプレーや背後への動き出しで攻撃の起点となったFW佐相とトップ下渋谷が絡むと相手にとっては脅威となった。決勝の前半は、相手のコレクティブな守備をなかなか攻略することができなかったが、後半に選手交代やポジションチェンジを行いリズムが生まれた。それに加えて前線の背後への動き出しも増えたことで相手DFラインが下がりトップ下渋谷が自由にプレーできるようになったことで流れを引き寄せ、延長戦の末、逆転勝利を飾った。中央を固めてくる相手に対して、SHやSBの攻撃参加が増えるとさらに攻撃のバリエーションが増えるであろう。守備は、GK緑川やCB石井を中心にコンパクトなラインを形成し、前線から積極的にプレスをかけてパスコースを限定し、インターセプトでボールを奪う形が何度も見られた。また、CBやボランチなどボール奪取能力に長けた選手が多いことに加え、選手の距離感やバランスが良く、チャレンジ&カバーも徹底されていてコレクティブな守備であった。しかし、SBが上がったスペースを使われ、ピンチになる場面やリスクマネジメントが曖昧な場面もあり、今後の課題となった。
 準優勝した正智深谷高校は、先日の全国高校サッカー選手権大会ベスト8進出時同様、堅守速攻を持ち味としたチームであった。攻撃は、奪ってから2トップに素早くボールを供給して全体を押し上げ、スピードのある両SHがサイドを突破しクロスを上げる形で何度もチャンスを作った。個人でもテクニックやスピードがある選手も多く、主導権を握る時間も長かった。特に、FW梶谷の存在感は抜群で、キープ力やシュート力に長けており、相手にとっては脅威であった。守備は、3ラインをコンパクトに保ち、全体でブロックを形成し、連動したプレッシングでボールを奪う。攻撃から守備への切り替えや中盤のプレスバックも早く、相手を自由にさせない。両CBの対人やヘディングの強さも光り、相手攻撃の芽を摘んだ。決勝の前半は、コンパクトかつコレクティブな守備で相手を自由にさせず、高い位置でボールを奪い、チャンスにつなげる場面が数多く見られた。後半は、前半のハードワークの疲れからか1stDFの寄せが甘くなったことで主導権を握られ、逆転負けを喫したのが残念であった。80分間通して前半のような戦いができるフィジカルがついてくれば間違いなく優勝候補のチームである。
 3位の武南高校は、1-4-4-2の布陣で2トップやSHに素早くボールを供給し、全体を押し上げ相手陣地で主導権を握るチームであった。守備はコンパクトな3ラインを形成し、ボールを奪うと2トップの動き出しに合わせて素早くボールを供給した。良い形で前線にボールが入ると持ち前のスピードやテクニックを発揮しチャンスを作った。しかし、全体の押し上げが遅れ2トップが孤立する場面も見られ、今後の課題となった。
 同じく3位の西武台高校は、1-4-1-4-1の布陣でDFラインから長短のパスやサイドチェンジを駆使しながら相手陣に侵入し、サイド攻撃からゴールに迫る。守備は、コンパクトなゾーンDFで、バイタルエリアに侵入させない。攻撃から守備への切り替えも早く、相手に隙を与えなかった。しかし、準決勝の正智深谷高校戦の後半に、風を警戒してかDFラインが下がり、相手をバイタルエリアで自由にさせてしまい主導権を握られ連続失点を許して敗れたことが悔やまれる。
 大会全般を振り返ると、新人戦の段階ではあるが上位に残ったチームは「攻守一体」を意識しているチームが多かった。攻撃時にはCBやボランチがバランスを取り、リスクマネジメントの意識があった。そのため、奪われてもすぐにボールにプレッシャーをかけられるような準備や予測ができており、素早い切り替えにつながっていた。守備では、ボールを中心にコンパクトなブロックを形成し、全体で連動してボールを奪い、素早い切り替えから相手の隙を突いてショートカウンターの形が多く見られた。一方でブロックやバランスを意識しすぎて1stDFが曖昧になることで相手に制限がかからず簡単に突破されたり、速攻と遅攻の判断が悪く、不用意にボールを奪われたりする場面が見られるなど課題も残った。
 埼玉県が全国で勝つためには、チーム戦術に加えて「個」のスキルアップが欠かせない。攻撃面では、プレッシャーの中でテクニックを発揮することや観て判断する力を、守備面では、予測や準備に加え、アプローチの早さ、ボディコンタクトや球際の強さなどを日頃のトレーニングやゲームの中で磨き、試合で発揮できるようにしたい。
 大会における成果と課題を各チームや個人が整理し、リーグ戦や高体連の公式戦に向けて切磋琢磨しながら強化を図るとともに、埼玉県が全国で昨年(全国高校総体ベスト4、全国高校サッカー選手権ベスト8)以上の成績を残すことを期待して総評とする。

第95回全国高校サッカー選手権大会総評

県技術委員 大野恭平(大宮南高校)


第95回全国高校サッカー選手権大会は青森県代表青森山田高校の優勝で幕を閉じた。
 青森山田高校はプレミアリーグ東日本においてJユースクラブを抑えて優勝を勝ち取り、高円宮チャンピオンシップにおいても西日本覇者サンフレッチェ広島ユースを0-0の末PK戦で破り年間チャンピオンの座を掴んだ。いわばユース年代の王者として挑んだ大会であった。優勝した要因としては、攻守において軸となるプレーヤーがいたことが挙げられる。FC東京内定のGK廣末はFC東京の下部組織から青森山田に進学、今ではユース年代屈指のGKとして呼び声が高い選手である。特徴は何といってもキックの正確さ、キックの飛距離、足元の技術である。試合中、フィールドプレーヤーは躊躇なくGKへのバックパスを選択することからも信頼度の高さが伺えた。また、廣末からのロングフィードが起点となって得点したシーンが多かった。GKが攻撃の起点となるチーム戦術が確立していたといえるであろう。ジェフ千葉内定のMF高橋は高い技術をベースに決定力の高さを発揮し、5試合連続で得点をあげるなど、その決定力でチームの優勝に大きく貢献した。また、キャプテンでアンカーのMF住永の攻守における献身性やリーダーシップ、FW鳴海の前線でのアグレッシブなプレーも光り、チーム全体で隙がなく常に勝利することから逆算したプレーを選手全員が実行する戦術理解度の高いチームであった。
 準優勝の群馬県代表前橋育英高校はインターハイ予選では県大会1回戦で敗れるという悔しい経験から、ここまで這い上がってきたチームであった。チームの特徴は、各選手が的確なポジショニングを取り、複数のプレーヤーが関わりボールを動かしながらゴールに向かうスタイルであった。また攻守の切り替えが早く、高い位置でボールを奪い返しショートカウンターをしかけるプレーも特徴的であった。前橋育英は2年生が多く出場していたので新チームでの全国制覇に期待がかかるであろう。
 ベスト4に残った栃木県代表佐野日大高校はDF5人、MF4人で守備ブロックを形成し、堅守をベースに数少ないチャンスを生かして勝ち上がってきたチームであった。同じくベスト4に残った大阪府代表東海大仰星高校は、1-4-4-2のフォーメーションで3ラインのブロックを敷き、統率のとれた守備陣形から個々の球際の強さを生かしてボールを奪いそこからのショートカウンターでゴールに向かい得点を重ねて勝ち上がってきたチームであった。両チームとも、勝ち上がった要因としては、1試合通して守備のバランスと集中力がとぎれない点と、チャンスを確実にものにする勝負強さがあったところである。
 本県の代表である正智深谷高校は3度目の出場で全国初勝利、全国ベスト8という好成績を収めることができた。正智深谷は1-4-4-2をベースに試合に応じて選手の配置を変え、試合展開によってさまざまな戦い方をすることができるチームであった。正智深谷は1回戦で島根県代表立正大淞南高校と対戦。序盤は相手の縦に早く鋭い攻撃で劣勢に立たされ前半を0-1で折り返すが、後半正智深谷の切り札的存在のFW田島を投入すると、田島が基点となりボールを保持する時間が長くなり、試合の主導権を握り返し2-1と逆転に成功し全国初勝利を掴むことができた。2回戦は東京都代表関東第一高校と対戦。1回戦同様、ビハインドの状況で迎えた後半残りわずかな時間帯から2点を奪い逆転勝ちを収めた。この試合では前半に1人退場者を出すアクシデントがあったが、その状況からの逆転は見事であった。3回戦は長野県代表創造学園高校と対戦。相手の高さを生かした攻撃をGK戸田・CB田村を中心に確実に跳ね返し、主導権を握りながら試合を進めた。そして、守備から攻撃への素早い切り替えから見事なカウンターにより得点を挙げ勝利した。準々決勝では優勝した青森山田高校と対戦。立ち上がりは正智深谷高校の方が攻守において相手を上回っていた。しかし、自陣深い位置での相手スローインからサイドを突破され、クロスに対する守備ではボールウォッチャーになり失点。その後もチャンスは作るが得点には至らず、相手の得意のロングスローとオウンゴールにより失点を重ね敗戦となった。大会を通じて、試合を重ねるごとに成長していく正智深谷の選手に感動を覚えた人は多くいたことであろう。埼玉県代表として力強く戦ってくれた正智深谷に称賛を送りたい。
 大会全般を振り返ると、攻撃においてはポゼッションプレーとダイレクトプレーを試合展開や相手の状況に応じて使いわけるチームが多くなってきた。意図なくボールを保持するだけのボール回しや、判断なく前線にボールを蹴るだけのチームは少なくなり、攻撃の優先順位を意識しながらプレーできる選手・チームが増えてきた。守備においても、前線から積極的にボールを奪いに行く守備と、ブロックを形成して相手を追い込み奪う守備を使い分けるチームが増え、チームとしてボールを奪うためのイメージが共有されていることがうかがえた。また、デュエル(1対1の強さ)においても相手を圧倒するという気迫や倒されても連続してプレーを続けるなどタフで逞しいプレーが随所に見られた。課題としては、ダイレクトプレーに対する対応が悪く、簡単にDFラインの背後を取られて失点してしまう守備があげられる。対策として、GKとDFがコミュニケーションを取ることや攻めているときのリスク管理を徹底する必要があると考える。クロスに対する守備においても、GK・DF共にボールウォッチャーになることが多く、ボールとマークを同一視するという作業を的確におこなえていない場面があったことにより失点をしていた。ゴール前の危険なエリアを守るということに対する危機意識を日ごろの練習から植え付けていく必要がある。攻撃時においては、プレーの質に対してもっともっとこだわって欲しい。一つのトラップ・一つのパスをとってもその状況にとって最善の選択をしているかというとまだまだ改善の余地はあると思う。日常からよりこだわってもらいたい部分である。また、セットプレーではロングスローという武器を持っているチームに対して、わかっていても失点していたことから、ロングスローに対する対策が今後必要になるであろう。
 この年代は、育成の時期を終え戦うサッカーへと移行していく時期である。チーム戦術を実行しながらも、状況に応じて的確な判断のできる力を養い、自立した選手へと成長し次のカテゴリーに進んでもらいたい。そして一人でも多くの選手権を経験した選手から日本を代表する選手が育っていってもらいたい。
本県においては、全国高校総体で昌平高校がベスト4、全国高校サッカー選手権大会で正智深谷高校がベスト8と、全国大会において結果を残すことができた。来年度も引き続き全国大会で好成績を残すことができるよう、各チームにおいて今大会における成果と課題を分析し、日々トレーニングに励み、今年度の以上の結果を残すチームが現れることを期待する。

平成28年度第95回全国高校サッカー選手権大会埼玉県予選を振り返って

高体連技術委員 東京成徳大学深谷高校 為谷 洋介

「正智深谷 2年連続3度目の栄冠!!」
8月21日から11月20日にかけて、平成28年度第95回全国高校サッカー選手権大会埼玉県予選が開催された。決勝トーナメントは、埼玉県リーグ参加校26チーム、総体埼玉県予選ベスト8のチーム、1次予選を通過したチームを合わせて52校によるトーナメント方式でおこなわれ、優勝は正智深谷、準優勝は浦和南、3位に昌平と西武台という成績に終わった。この結果、正智深谷が2年連続3度目の栄冠に輝き全国大会への切符を手にした。
 優勝した正智深谷は、5試合で1失点と堅守が際立ち、相手の強みをうち消しながらも選手交代やポジションチェンジで相手の弱点を突くことができ、安定した守備をベースに主導権を握り勝ち上がったチームであった。全国的に、ここ数年の傾向から攻撃と守備の役割を分業し、リスクを冒さないサッカーを展開するチームが勝ち上がっている中、正智深谷は攻撃の優先順位を意識し、全体をコンパクトにすることで攻守の一体化を図り、相手に隙を与えない守備と一瞬の隙を突く攻撃ができるチームであった。
一方、準優勝の浦和南は、空中戦の強さと粘り強い守備をベースに、多彩なセットプレーを駆使しチーム戦術を徹底したチームであった。高さを生かした攻撃は迫力があり見る者を驚かせた。決勝戦では、1点ビハインドで迎えた後半アディショナルタイムに浦和南がロングスローから同点に追いついたシーンは周囲に感動を与えたが、PK戦の末、正智深谷の勝負強さに惜しくも敗れ幕を閉じた。
3位の昌平は、Jリーグ内定の針谷、松本を中心とした高い個人技を生かし、攻撃の優先順位を意識しながらボールを動かしゴールを狙うサッカーを展開した。チームでボールを保持する時間を増やし主導権を握ることで昌平スタイルを押し通した。準決勝では正智深谷の堅固な守備ブロックを最後まで崩せず涙を呑んだが、スタイルを崩さなかったところに矜恃(きょうじ)を感じた。同じく3位の西武台は、ボランチで主将の今井を中心に高い技術とスピード生かした攻撃を展開し、長短織り交ぜたパスで相手ゴールに迫るサッカーで勝ち上がってきた。準決勝の浦和南戦では、相手の粘り強い守備に特徴であるスピードが阻まれた。守備面において浦和南の縦に速い攻撃の対策が曖昧になり後手に回ったことが悔やまれる。
 大会全般をテクニカルな“攻守一体”の視点で見ると、ボールを中心としたポジション取りで、相手の状況を見ながら味方との距離感が良く、攻守の切り替えが速いチームが勝ち上がっていたように思う。攻撃面においては、判断無しで前線にボールを放り込む場面は少なくなり、攻撃の優先順位を意識して、人とボールに関わりながら攻撃を組み立てようとする姿勢が見られた。しかしながら、味方との距離が遠かったり、あるいは近すぎて、ビルドアップの途中で相手にボールを奪われてピンチを招くシーンがあった。
また、攻撃が早くなりすぎたり、リズムが一本調子で相手に読まれて、ボールを失うシーンや、前線にボールが渡っても孤立してしまい相手選手に囲まれてボールを奪われるシーンもあった。
 守備面においては、選手間の距離が遠くファーストディフェンダーの決定が遅くなり、チャレンジ&カバーが不徹底になり、簡単にギャップを通されてピンチになるシーンが目立った。また、自陣ゴール前においてボールウォッチャーになってしまうシーンが見られ、ラストパスの精度が高いチームや即興性のあるプレーには対応できず、簡単にゴールを奪われてしまうことが多かった。守備における正しいポジショニングはもちろんのこと、チームとしていつ、どこで、どのようにボールを奪うかを明確にしたい。また、チーム全体に間延びが生じ、攻守の切り替えが遅く、ファーストディフェンダーが曖昧になり大きなピンチを招くシーンや、ボールを奪ってもサポートの距離が遠くせっかくのチャンスをシュートまで生かせないシーンも見られた。
 全体を通して「個」のレベルアップは欠かせない。特にボールが無い時の準備、試合の流れを判断する力のレベルアップが必要であり、“見ること“を普段から習慣化する事が重要である。ゲームを観る力、プレーの中で判断する力には洞察力が含まれてくるので、トレーニングの中からゲームの全体像をイメージし、色々な状況に応じて判断する力を養いたい。 
結びに、本戦に出場する正智深谷は、試合の中で起こりうる様々な状況を考えながら、良い準備をして全国大会に臨んでほしい。

平成28年度全国高校総体(中国総体)総評

報告者 県ユースダイレクター 浦和東高校    荻野清明
県2種技術委員長   越谷総合技術高校 大森健司
                   県2種技術委員    朝霞西高校    山下暁之

平成28年7月26日~8月2日に広島県で開催された全国総体に、本県から昌平高校と聖望学園高校が出場した。両チームとも自分たちのスタイルを貫き、全国の場で確かな手ごたえを感じただろう。特に、昌平高校は、全国総体2連覇中で今回も優勝候補の東福岡高校を激闘の末3-2で破り、その後も、前橋商業高校、静岡学園高校を破り準決勝へと駒を進めた。準決勝の市立船橋高校戦は、五分の戦いを展開したが0-1で惜敗した。聖望学園高校も相手ボールにプレッシャーを掛け続け、コンパクトフィールドを形成しての攻守一体のサッカーを披露し、1回戦、徳島市立高校に4-1で勝利。2回戦の鹿島学園高校戦も終了間際まで2-1でリードしていたが、最後に失点しPK方式で敗退してしまった。しかし、1回戦同様、自分たちのスタイルを徹底し、戦術的に徹底度の高い試合を見せてくれた。
 埼玉県は、進学先の分散傾向により、県内に絶対的なチームが存在する時代ではなくなった。しかし、各チームの指導者が、普段のトレーニングの質の向上や育成強化の徹底を更に高めると同時に、状況に応じた賢い戦いを学び取っていけば、全国で戦える強いチームは作ることができると、今大会を通じて感じた。



昌平高校の戦い

1回戦 中津東高校
 中津東は、県予選とは異なりかなり守備的な布陣・戦術を敷いてきた。昌平の本間、松本、佐藤にほぼマンツーマンで更にスイーパーを置いた。そして、中盤に人数を掛けミドルサードに自由に侵入させない守備からボールを奪ってはカウンターというプラン。ボールに対しての集結も速く1対1も粘り強い。昌平は、序盤、パスのブレやボールの移動が遅く相手を動かすことができなかったが、マンツーマン対応されなかった山下が、右サイドで効果的な突破を図ったことにより相手守備にズレが生じスペースができた。攻勢に試合を進める中、32分、山下のドリブル突破からのボールを本間が決めて先制。34分にも本間が加点し、2-0で前半を折り返した。後半も、空いたサイドのスペースを攻略し3点を奪い5-0で快勝した。攻撃が印象に残る試合であったが、中盤での厳しい守備が攻守一体の素晴らしい試合となる要因となったことは見逃せない。様々な面で相手を上回った感はあるが、DFがオフザボールで横から流れてくる相手FWを掴み切れていなかったことがあり、守備の準備にやや課題が見られた。

2回戦 東福岡高校
 東福岡は、大きく速いサイドチェンジを繰り返し、高い位置を取るサイドDFとMFがサイドを力強い1対1で突破し好機を作る。その展開力に昌平は選手間の距離が離れてしまい、コレクティブな守備ができない。守勢一方の展開の中、7分に右サイドを崩され失点。その後も同じような展開が続くが、15分過ぎから前線でのプレッシャーを強め的確なスライドができるようになると、バランスの良い3ラインが保たれ意図的にボールを奪えるようになり、昌平らしいパスワークも見られるようになった。41分、右サイドでサイドDFの篠山、MF山下を経由したクロスから本間が得点し同点。その後、東福岡のほぼオールコートでのプレスとマンツーマン気味の守備に対して、小気味よいパスワークでアプローチの的を絞らせない状況を作り出せるようになると、ボール保持率は五分以上になった。後半の飲水タイム以後、更にサイドからの攻撃を徹底すると、相手守備の中央に隙ができ始めた。59分、ファーストディフェンダーの寄せが甘くなったバイタルエリアへ侵入し、最後はペナルティエリア内へのワンタッチの縦パスで抜け出た本間がファールを受けてPKを得た。これを松本が冷静に決めて逆転。昌平のサッカースタイルを象徴するシーンであった。試合の主導権を昌平が握ったまま進み、試合終了を迎えるかと思われたが、昌平は、終了間際に自陣深い位置でフリーキックを与えてしまい豪快なヘディングシュートを決められ同点とされた。PK戦はできる限り避けたい東福岡は、残されたわずかな時間も猛攻を仕掛けてきたが、昌平の選手は気丈に自分たちのリズムを保ち戦った。アディショナルタイムも終わろうかという時間、左サイドを攻め込み得たコーナーキックを針谷が右足でGKの頭上を越えて落ちるキックを直接決め劇的な勝利を収めた。針谷は1回戦の中津東戦でもコーナーキックから得点しており、彼の技術の高さを見せつけられた。体格、フィジカルの強さ、大きな展開力を作り出すキックの技術などに勝る東福岡の攻守に耐える展開から自分たちのスタイルへの活路を見出し勝ち取ったこの試合は、間違いなく昌平の今後の成長材料となったであろう。

3回戦 前橋商業高校
 守備的なゲームプランの前商に対して、なかなか相手守備陣形に入り込めない展開であった。立ち上がりから前商のブロックの外でゆっくりポゼッションし、時折ロングフォワードパスで裏を取ろうとするが、スペースが少なく突き切れない。強固なブロックに真っ向から入り込もうとすると、前商の厳しいプレスに捕まりボールを奪われカウンターを受けてしまう。前商のプラン通りの試合展開の中、29分集中を欠いた守備ラインをワンタッチのパスで破られ失点をしてしまった。その後もやり方を変えることなく前半が終了。後半、メンバーとポジションを変更し活路を見出そうとする。これにより、前半よりも流動性が見られるものの最後のところで堅い守備に阻まれることの繰り返し。しかし、前半とは明らかに異なる昌平の揺さ振りに消耗させられた前商守備陣に疲労が見られ、終盤に昌平らしいテンポの良いショートパスからの崩しが出るようになった。万事休すかと思われたアディッショナルタイム、バイタルエリアで横パスを受けた山下がワンタッチの鋭い縦パスを本間に入れ、振り向きざまのシュートで同点。PK戦も落ち着いて決め勝利。後半の采配変更が勝利に結びついたゲームであった。

準々決勝 静岡学園高校
 互いにポゼッションする同タイプのチームかと思われたが、ボール局面での力強さの静学、しなやかさの昌平と明らかな違いがあった。試合が進むにつれ、昌平ペースの展開となる。ポゼッションからタイミング良く裏に抜け出すロングフォワードパスや低く鋭いグランダーの縦パスで攻撃のスイッチが入ると一気にゴールへ迫っていく。前半終了間際、その攻撃に対応しきれなかった相手選手が一発退場を受けた。後半、一人多くなった昌平は、ドリブルを活かし多彩な攻撃を仕掛けた。50分、自陣からのビルドアップから針谷を経由して左サイドへ展開し、松本、本間のパス交換から最後は松本の技ありのシュートで先制。その後、静学は2バックに変更し攻撃に人数を掛け、高さとパワーとセットプレーで勝機を見出そうとするが、昌平は体を張ってしっかり守り、カウンターで追加点を狙うという展開になった。試合はそのまま終了し1-0で勝利した。この試合、針谷のプレーが相手を翻弄した。昌平全員の勝利には違いないが、その中で針谷の存在はとても大きなものであった。

準決勝 市立船橋高校
 厳しく連続アプローチし圧力のある守備の市船に対し、パスとドリブルで絶妙にかわしながらポゼッションする昌平。市船は、奪ったボールを素早く前線に送り速攻を試みるが、昌平の攻守の切り替えも素早く、シュート場面までは持って行かせない。市船のプレスをかわすべく繰り出す針谷のサイドチェンジは極めて有効だが、その後にスピード感がなく昌平も好機を作れない。サイドバックが極めて高い位置を取り、サイドハーフが中のスペースに入りビルドアップに参加する市船の動きに対し、うまくマークの受け渡しができず良いポジションが取れなくなった昌平は、徐々にサイドを攻略され好機を作り出されてしまう。それにより、サイドバックが攻撃参加できなくなり、攻守のバランスが崩れ持ち前の攻撃的な姿勢が影を潜めていった。30分、自陣で奪われたボールをショートカウンター気味にサイドを突かれ失点してしまったが、全体的には、昌平の落ち着いたポゼッションが市船にいらだちを募らせるような前半であった。後半、市船は、更に守備の圧力を強めるとともに奪ったボールをチームとしてポゼッションし、昌平にボールを保持させない戦い方に修正してきた。昌平は、ボール保持率が減少し守勢に回る場面が増えたが、それでも時折見せるカウンターで勝機を見出そうとする。しかし、市船の厳しさは体力的・メンタル的・戦術的にも落ちることなく、したたかに勝利へと向かう戦い方で勝利した。
 昌平は、自分たち力を出し切った。この試合から得た課題は今後の大きな糧となるであろう。
また、互いにこの試合が6日間で5試合目。ナンセンスな日程であるが、それに言い訳しないプレーを披露してくれた両チームを称賛したい。

聖望学園高校の戦い

1回戦 徳島市立高校
 初出場の聖望学園高校は、1回戦で徳島県代表の徳島市立高校と対戦した。フォーメーションは埼玉県大会と同じく4-1-4-1でスタート。立ち上がりは徳島市立に主導権を握られるが、県予選と同様にラインを非常に高く保ちコンパクトフィールドを形成しながらプレスをかけ徐々にいい状態でボールを奪える回数が増えてくる。このような展開から前半23分に先制点を奪う。その後は徳島市立が前がかりになったところを、いい形でボールを奪いショートカウンターを仕掛けていく場面が多くなる。このような展開から決定機を逃さず確実に得点を挙げ、4-1で快勝した。

2回戦 鹿島学園高校
この試合も1回戦と同様のシステムで臨んだ。攻守ともに自分たちの特徴を出し、先制されるも逆転をして3回戦進出かと思われたが、後半アディッショナルタイムに同点に追いつかれPK戦の末敗れた。全国大会という舞台でも攻守においてチームの特徴を出し、通用している部分がたくさんあった。聖望学園高校にとっては大きな自信になった大会だっただろう。ただし、勝ちきれる試合に後半のアディッショナルタイムで追いつかれて敗退してしまったことは非常に悔やまれる。この経験を活かし、今後、さらに成長していってもらいたい。









試合結果

H29選手権2次予選

決 勝ー11/19(日)

準決勝ー11/12(日)
準々決勝ー11/4(土)5(日)
3回戦ー10/28(土)
2回戦ー10/15(日)
1回戦ー10/14(土)

関連リンク

H29学校総体 兼 高校総体

決 勝-6/25(日)

  • 昌平 -1 浦和西

関連リンク

第60回 関東高等学校サッカー大会

決 勝-6/5(月)

  • 三浦学苑€€0(0前0)(0後2)2昌平


関東大会県予選

決勝-4/30(日)-

  • 昌平 -0 正智深谷

LinkIcon関連リンク

県新人大会

決勝-2/18(土)-

  • 正智深谷 1-2 昌 平

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